お知らせ Notice
【とーくさろん】 (株)藤工業所 三矢 学さん
2026.08.27「機能美100%」常識を破る愉しいモノづくり
私たちはステンレスやアルミニウムなどの金属を切ったり曲げたり溶接で引っ付けたりして様々な作品を製造しています。芸術家ではありませんが、美しい製品づくりを目指しています。その原点はレーシングマシンです。機能を追求し、ムダを削ぎ落とした結果として宿る機能美。以前鈴鹿8時間耐久レースにメカニックとして参加したとき、マシンの美しさのみならず、そこに集まった全員が0.1秒を切り詰めるために惜しみない努力を重ねる、そんな姿にもとても美しさを感じました。これこそが当社の合言葉である「機能美100%」です。
現在、私たちはこの高い技術力を活かし、『モノづくり現場のための救急救命隊』としての使命を果たしています。色々なところで断られ、「このままだと会社の命に関わる」と絶望しているお客様のピンチを救う最後の砦です。
かつては「今でもいっぱいいっぱいなのに特急なんて無理です!」と社員に猛反対されました。しかし、私の尊敬する救急医療の現場と同じで、「助ける側(社員)が疲弊しては、次の命(仕事)は救えない」。だからこそ、私たちは徹底的な仕組み化を図っています。17時までに持ち込んでいただければ最速19時にお渡しできる超特急体制を、現場が自律して回せる土壌が、いままさに形になっています。美しい製品には、使い勝手の良さや強度の安定、後工程が楽になるなどの明確なメリットがあります。条件が異なってもその美しさを維持できること自体が、私たちの技術力の証明です。
昨今、「図面通りに作ってください」という要求は時代と共に難度を増しています。設計先行で実現性の低い図面が提出されることも少なくありません。だからこそ当社の出番です。私たちは「図面から、それが実際に使われる現場の状況や状態を想像する力(翻訳力)」を持っています。図面の行間を読み、最適な形状をこちらから提案する姿勢が評価され、国内の名だたる企業や、4年前からはJAXA(宇宙航空研究開発機構)からもご相談をいただくようになりました。民間人が宇宙により安全に行くための燃料燃焼実験装置づくりに関わっていることは、私たちの大きな誇りです。
AIやロボットが主流の現在ですが、私たちは全面的にデジタル化をするのではなく、アナログな職人の「感性」と手作業を大切にしています。万が一、当社での製作が難しい場合でも、「あそこの会社なら最適な機械や技術があるよ」と紹介できる『ハブ(地域の総合病院)』としての機能を担うことで、ライバル社とも切磋琢磨しながら共に成長したいと考えています。
1990年の創業から36年。手のひらサイズから6メートルクラスの大型な精密製缶・板金、あらゆる材質に対応する職人による美しい溶接。そして、自分たちで何とかしようという土壌が醸成された最強のチーム力。私たちはこれからも、社員が元気で愉しく仕事に携わることができる職場環境(健康経営優良法人認定)を守りながら、日本のモノづくりを止めない最後の砦として走り続けます。
2人でスタートした当社も現在は30名、その3割が女性です(あいち女性輝きカンパニー認証)。私たちは「働き方の常識」にも縛られません。現場や事務所だけでなく、国内外の優秀な在宅ワーカーとワンチームで動いています。メンバーは岐阜、富山、石川、茨城、さらにはスペインやベトナムと世界中に広がっています。特にスペインとは時差を活かし、彼女らが現地時間で仕上げた図面や見積もりが日本の朝一番に届く仕組みを構築しました。この24時間体制のバックアップがあるからこそ、私たちは現場を疲弊させずに、圧倒的なスピードで救命活動(特急加工)に取り組めるのです。最近では採用専門の担当者も加わり、Webを駆使した先進的な組織づくりへの挑戦を続けています。ただ、私が新しい提案をすると、大体現場の社員からまずは反対されるのですが、それも楽しみの1つとして受け止めています。
また、モノづくりの愉しさを次世代に繋ぐため、半田商工会議所主催の『はんだオープンファクトリー』には初回から参加しています。子どもたちが私たちの作業手順をそのまま体験し、材料が形になっていく様子に目を輝かせる姿は、私たちの原動力です。仕事しているときに「ワーッ!」という歓声や拍手をもらえるなんて体験できないですからね!今年はどんな感動を届けようか、いまから知恵を絞っています。ぜひ、藤工業所の「機能美」を体感しに遊びにきて、そして私たちにも感動をください。(10月16・17日開催)
私たちは、モノづくりに対する「姿勢」そのものを常に追求しています。その一つの答えが、昨年体験し、今年はスタッフとしても参加した日本古来の製鉄方法『たたら製鉄』にありました。釜に炭を入れ砂鉄を撒くという一見単純な作業です。この単純な作業なのになぜか毎回出来映えに違いが出来るのです。単純故にその違いを生み出すために、炭や砂鉄の入れ方、火の色・音・熱さに常に気を配ります。20分ごとに炭を投入したあとは釜の周りを徹底的に綺麗に掃除する。そうした心を込めた丁寧な手作業の積み重ねが、仕上がりに決定的な違いを生みます。効率化ばかりが重視される現代ですが、効率を超えた「非効率の中にある真の価値」を、私はそこで改めて体感しました。そこから生まれる鉄の美しさは唯一無二です。
『神は細部に宿る』という言葉通り、見えないような細かい箇所にまで気配りをし、想いを込めることで、誰の目にも明らかな「美しい製品(機能美)」が完成します。アニメ『鬼滅の刃』に、刀鍛冶の鋼鐵塚蛍(はがねづかほたる)が、鬼に囲まれて命の危険が迫っていても一心不乱に刀を研ぎ続ける名シーンがあります。あの『職人の執念』と『究極の集中力』こそが、モノづくりの真髄です。私を含めた当社の職人たちも、そうありたいと日々精進しています。
私たちは単に部品を作る会社ではありません。一度途絶えかけた日本古来の製鉄技術を復活させるお手伝いも含め、先人たちから受け継いだ「日本のモノづくりの魂」を次世代へ繋ぐこと。伝統的な技法を活かして最先端の技術に役立てる。それこそが、藤工業所がこの世に存在する意義であり、私の生涯をかけたライフワークです。
■ 半田市古浜町11
■ 営業時間/8:00~17:00(月~金)
■ TEL/0569-24-3422