お知らせ Notice

【ひと】 名鉄知多タクシー(株) 取締役社長 南 伸幸氏
ゲッポウ・コラム

【ひと】 名鉄知多タクシー(株) 取締役社長 南 伸幸氏

2026.08.27

不易流行の精神で挑戦

 その時々に出会った人々、様々な経験は今も大きな財産となっている。己との闘い、自身に反しての英断を求められることもあった。そんな立場や使命が与えられた時、諸先輩方から発せられた言葉や学びに元気や勇気をもらい、真っ正面から向き合ってきた。リトルリーグに所属していた少年時代からそれは始まった。関東・関西方面に遠征し野球の楽しさに夢中になり、いつしかプロ野球選手になることを夢見た。当時、野球の強豪校として名を馳せていた大府高校に入学した。同校はその年の夏、2年生の春には甲子園出場を果たした。 
 「2年生で甲子園のサポートメンバーとして帯同しましたが、年々自分の実力を自覚し始めても野球への情熱は強く、社会科の先生として高校野球の指導者になろうと考えました。大学では軟式野球をしながらアルバイト。また、テレビの人気番組で視聴者参加型の『アメリカ横断ウルトラクイズ』に挑戦し、予選落ちしたために「自分でアメリカに行こう」とバックパッカーとしてアメリカ、カナダ、メキシコに旅しました。銃声を聞いて逃げ出したりホールドアップされたり、怖いもの知らずの一人旅でした。毎日が楽しくて、楽な方へ流されそうになった時には、恩師に叩き込まれた言葉『己に克つ』を思い出し、自らを奮い立たせていました」
 地元での就職を望む両親のたっての願いで、教職を諦め、地域貢献が出来るだろうと名古屋鉄道㈱に就職した。入社直後、車掌として乗務していた電車が車と衝突し目の前で出火、車外へ逃げ惑う人々、あわや大惨事になりかねないような体験をし、今もその様子はありありと目に浮かぶ。その時に安全意識が醸成されたようだ。その後ハイウェイレストラン、旅行センターなどで研修し、2年目の研修先として香港名鉄有限公司への辞令が降りた。
 「全社員5名で(役員2名、現地スタッフ2名)、グループ会社(コンビニ、旅行会社、不動産会社など)の窓口業務を担っていました。日本から注文された商材の買い付け、お客様のアテンドなど全ての仕事の窓口が私であり、現場を巡りながら、宴席も担当しました。多岐に亘る扱い商品、言語(広東語、英語)も必死で学びました。当時CMで流れていた流行語『24時間戦えますか』を地で行く新入社員でした(笑)。3年間の香港での駐在生活は1日も仕事に穴を空けることは無く、両親から丈夫な身体に産んでもらったことに感謝しています」
 帰国後はバブル崩壊による会社整理や、グループ会社再編に関わる部署に所属した。若干28歳、大先輩ともいえる経営者との交渉では『長幼の序』をわきまえて接していたが、上司から「昔はこうだったという理屈は通らない、方針は遂行する」と薫陶を受け、心を鬼にして役割として責務を全うした。再建を託された時には率先して現場で汗を流し、飲みニケーションでの会話を大切にし、実態を的確に把握して判断した。時には気弱になることもあったようだが、そんな時には、語学学校の教師の言葉『Where there’s a will, there’s a way. Nothing can be accomplished without effort.(なせば成る、なさねば成らぬ何事も)』に勇気をもらい、自らを叱咤激励した。
 「名鉄観光バス㈱、名鉄タクシーホールディングス㈱を経て当社に赴任した直後に、コロナ禍で離れてしまった乗務員の確保に取り組みました。『採用プロジェクト・ReBoost50』を立ち上げ、活性化し、乗務員を年間50名採用、自社での採用シェアを5割にすることを目標にSNSを活用しています。SNSはダンスをやらされるイメージを持っていたようで(笑)、踊るのは嫌だと警戒していた社員を説得して、会社を支えている様々な職種の社員たちが当社の特徴や魅力、仕事の公共性などを発信しています。次第に登場者も多くなり、私も参加しています。外部へのアピールだけでなく、社員の帰属意識が高まってきたように感じています。採用も順調に増えてきています」
 知多半島観光、知多四国八十八箇所巡り、通院、通勤、出張者の企業送迎、その多様性に応えるために『安全・もてなしの心・運転スキル』を要素として挙げ、教育に力を注ぐ。また、この秋、愛知県内で開催のアジア・アジアパラ大会の輸送業務に携わっていきたいと意欲を示す。社員全てが国内外の選手やVIPの方々と接することは自信に繋がり、その経験が仕事にも活きてくると期待する。
 「地元に根付いた会社なので、将来、余裕が生まれたら、タクシー業界から派生する事業を展開して、知多半島を盛り上げていきたいと考えています。色々な仕事を通して、『不易流行』の精神の大切さを深く心に刻んでいます」
 SNSでの試みもその一端で、野球で培った諦めない気持ち、チーム一丸で目標に向かう姿勢で、次なる挑戦が始まる。

●ちょっと一息●
 香港ではソフトボールやドラゴンボートチームに所属し、トレイルウォーク(山中を100キロ走ったり歩いたりする山コース)に仲間と参加し、完走後にはアルコールを浴びるほど飲んでいました(笑)。その延長線といえるかもしれませんが、「毎年1本フルマラソンに出よう」という目標で、ハノイマラソ
ン、ホーチミンマラソン、昨年は東京マラソンに挑戦しました。ベストタイムは3時間半強、今は4時間台になってしまいました。いつかはワインと仮装を楽しみながら走るメドックマラソンにも出たいと思っています。普段はランニングをし、歩くことが好きですね。野球は阪神ファンで、この間も甲子園へ応援に行ってきました。
 また競馬も趣味で、週1回1レースと決めて、金曜日には日経新聞の競馬欄、土曜日は競馬新聞で展開を考え予想をして日曜日に購入。たまにしか当たらないですね(笑)。その時は仕事も忘れて夢中になっていますので、ストレス解消に打ってつけです。釣りも好きで、奥さんと一緒に行く食べ歩きも楽しんでいます。運転をどちらがするかジャンケンで決めていた時は、よく負けていました。今は話題の店にタクシーで行くことも多くなりました。お酒も好きですからね(笑)。毎日奥さんと軽く晩酌もしています。あれこれやることが多い毎日ですが、そんな時間も楽しくいつもワクワクしています。
 
プロフィール:1965年名古屋市生まれ。常滑市在住。88年法政大学文学部地理学科卒業。同年名古屋鉄道㈱入社。89年香港名鉄有限公司、92年㈱名鉄総合企業、95年名古屋鉄道㈱関連事業部、2002年経営管理室(リストラ委員会事務局)、06年㈱金沢名鉄丸越百貨店(経営管理部長)、09年名古屋鉄道㈱関連事業部、11年㈱名鉄百貨店(経営企画部中計担当長財務部長)、14年名鉄観光バス㈱(取締役)、23名鉄タクシーホールディングス㈱(常務取締役)を経て、25年現職。半田商工会議所常議員。

ページトップへ戻る