半田商工会議所 THE HANDA CHAMBER OF COMMERCE & INDUSTRY

会員トピックス
とーくさろん

半田商工会議所 THE HANDA CHAMBER OF COMMERCE & INDUSTRY

会員トピックス
とーくさろん

Swiss Plus

2023年4月6日(木)

貝沼貢実さん

理想の義歯を作るため技術を追求

『幸運の女神には前髪しかない』と言われていますが、2011年9月、僕はあの時、確かに女神の前髪を掴んだと感じています。総入れ歯製作の歯科技工士の僕は、世界NO.1歯科技工士マックス・ボッシャー先生の講習を受けるために、セントレアに向かっていました。到着した僕を待っていたのは、台風で欠航という絶望的なアナウンスでした。スイスでの講習会になけなしの大金を投じ、学びたいという思いを諦めることが出来ず、必死で飛行機を探して一日遅れて参加しました。科学的根拠に基づいた最先端技術のその講義は素晴らしく、まさに目からウロコ状態でした。3ヶ月後にマックス先生から、2012年の新年早々の講習会のお誘いを受けました。直々にお声がけをいただき、全ての仕事をキャンセルして、先生の仕事場で1週間トレーニングに励みました。
 帰国後に歯科医院の先生方から「今までの仕事のクオリティと全く違う、患者さんがすごく喜んでいる」と報告をいただきました。知らず知らずのうちにスキルアップしていたようです。人種、性別、年齢などによって骨格は様々ですが、常に世界標準の最新スキルをアップデートしていけば、全ての患者さんに対応可能な義歯を提供できることを確信しました。世界で通用するスキルかどうか?自分のレベルを客観的に評価したいと2015年から様々なコンテストに挑戦してきています。
 世界の頂点はとてつもなく高く、惨敗に惨敗が続き、2021年にようやく『2021 IDS Candulor World Contest』(世界入れ歯コンテストドキュメント部門)で1位になりました。アジア人で初めての1位で、2年に一度開かれるこのコンテストは、個人的には義歯のオリンピックやワールドカップに匹敵するのではと思っていて、とても嬉しかったですね。今年も挑戦し『13th International CANDULOR KunstZahnWerk Competition 2023』
作品部門で5位獲得しました。3月15日、ドイツでの表彰式に出席してきました。コンテストは世界中からエントリーした歯科医・技工士100人程に患者さん情報と顔写真、石膏模型が届きます。ヨーロッパでは機能性が最優先され、審美であり、入れ歯と分からないような自然な義歯を作ろうという意識が高いようです。僕はその自然観を大切にし、歯茎の色は白からピンクのグラデーション、患者さん本来の歯並びを再現するために、すきっ歯の義歯を製作することもあります。完全なオーダーメイドですので、ピッタリ合う究極のオートクチュールですが、誤差は出てしまい常に精度との闘いです。ミクロの世界での勝負で「自分の身内が使う」という想いで作っています。
 先日も僕の facebookを見られた、関西にお住まいの85歳の女性から「思い切り、食べものを美味しく食べたいから義歯を作りたい」と連絡をいただきました。私たち歯科技工士は、歯科医から患者さんの情報をいただき義歯を作るので、近隣の歯科医院を紹介させていただきました。近隣といっても岐阜の歯医者さんですが、距離感よりもご自分の理想とする義歯を作って欲しいと要望される患者さんでした。近年はしっかり噛むことで健康を保ち病を遠ざけると言われ、歯の大切さを再認識される傾向にあるようです。女性は特に審美性を求める方も多く、自然観を大切にしながら、機能性、審美性の三拍子を揃えるために試行錯誤しています。
 歯科医院の先生が入れ歯を患者さんにセットした後に、その場でかた焼き煎餅とあたりめを食べていただき、その様子を動画で撮影し送信していただいています。「20年間食べていない固いものを食べられて嬉しい」と号泣された方もいらっしゃいます。僕は義歯を『人工臓器』と言っていますが、体の一部となるその臓器を装着することで「身体の歪みが治った」「背筋が伸びた」「顔の輪郭がスリムになった」などの驚きの声を頂戴しています。また、最近は若い方でも病気等で歯を失った方、ボロボロになってしまった方、身内にも入れ歯であることを隠していらっしゃる方、様々なご苦労をされているようです。僕はクロコとして、陰ながらそういう方達のお力になりたいと思っています。
 30年程前に独立してから、ひたすら技術を追求してきました。世界には学ぶべき技術がたくさんあります。時には今までの知識を払拭しなければならないこともありますが、患者さんの理想とする入れ歯を作ることは、僕の人生を豊かにすることにも繋がっています。入れ歯に人生をかけ、ポケトーク(通訳機)を相棒に、技術の習得に日々努めています。

Swiss Plus

貝沼貢実さん

■半田市亀崎常盤町3-12  
■29-4415  



喜餅の英語落語には中毒性がある

2023年3月30日(木)

(株)Projectk  澤田 法人さん

 27歳で仲間と独立。30歳になって、精神的に余裕も出てきたため、新しく挑戦したのが英語でした。大好きなアガサクリスティを原書で読みたいという思いも昔からありました。それまでの私は留学経験どころか、海外旅行の経験もゼロで、英語を学ぶにあたり、先生は洋書・洋画・洋楽でした。
 英語学習を始めた2000年から2010年あたりは、インターネット上で「ブログ」が流行していました。インターネット上の交流から英語学習仲間のコミュニティが形成され、オフ会(オフラインミーティング)が開催されるように
なりました。私が所属していたコミュニティでは、年に1回のオフ会開催時、何らかの形で英語に関連した発表をしようという決まり事がありました。そこで私は事前に参加した英語落語ワークショップで披露された演目を耳コピし、それを仲間に披露しました。笑い上戸の仲間がゲラゲラ笑ってくれて大盛況、その空気の中「英語落語は天職だ!」と思ったのが運の尽き、英語落語の世界にドップリとハマってしまいました。
 落語は元々、主に会話で構成されています。それを英語で披露します。会話を磨くことで英検やTOEICといった検定のリスニングにも応用できます。また座布団1枚あればどこでもできます。設営も片づけも早いです。演目時間も調整可能です。まさに一石二鳥、三鳥です。2010年から2年半、東京の英語落語教室に通っていましたが、2013年よりフリーランスの「喜餅」として活動をすることになりました。以来、日本の伝統話芸「落語」を英語で海外の方達に紹介し、世界中を笑いと感動で包みたいと思い、取り組んでいます。
 国内で英語落語をご覧になるお客様は、外国人の方達も含め、様々です。日本人の中にも、英語を学んでいる方、英語を教えている方、英語がわからない方もいらっしゃいます。英語力の違い、そして日本の文化や風習に対する理解度の違いなどもあるため、時には演目を披露する前にその辺りの知識を共有します。年に1度、愛知県立大学さんにて講義をさせて頂いています。英語落語を披露し、英語の活用や勉強方法などを全て英語で講演します。その中で学生さんから頂いた質問で「(演目の中で登場した)隠居という言葉は、どういった意味の英単語ですか?」というものがありました。同じ日本人でも、世代によって触れている文化の違いがあることを実感しました。そのため古典落語を披露する際は、知識の共有に配慮しています。
 2017年に「アメリカで英語落語をやりたい」とクラウドファンディングを通じミシガン州6か所7公演をしました。人生初のアメリカでした。たった一人での遠征、初めての左ハンドルに右車線、道中のドタバタ劇や公演の様子をインターネットで配信し、支援を頂きながらの旅でした。現地の方達からは「落語の登場人物は、誰も傷つかないのがいいね」と言われ、嬉しかったことを覚えています。その後、英語落語の可能性、そして落語が持つ話術としてのスキルをコミュニケーションに応用できないかと考え、株式会社 Project K を設立しました。話し方やコミュニケーションスキルを磨く社員研修やワークショップを開催しています。また落語のスキルをスピーチやプレゼンテーションスキルに応用し、パブリックスピーカーとしても活動しています。
 その活動の一つとして、アメリカで誕生した「トーストマスターズクラブ」という非営利団体が毎年開催しているスピーチコンテストにも挑戦しています。2017年に日本語・英語部門で全国大会に出場、昨年はユーモアスピーチコンテスト(日本語・英語)全国大会に出場し、日本語部門で3位を獲得しました。夢は世界大会で優勝、決勝で「ホンノキモチ(トーストマスターズクラブでの登録名)」と呼ばれることです。
 今、YouTube 上に「喜餅っちゃんねる」として英語落語の演目や、私が見聞きしたもののレビュー、思いや考えを投稿しています。定期的に投稿しているラジオ動画では、映画や格闘技など雑多なテーマについて語っていますYouTuber として考えると、YouTube の運営はテーマを絞った方が絶対に良いです。しかし私はこのチャンネルを通して「喜餅ってこういう人」と、ファンになってもらえたら嬉しいなと思っています。元々私は、色々なことを知りたい、挑戦したい、スキルを身につけたいという思いがあり、発信しています。またそれが新たな英語落語の可能性を開くことにつながっています。
 先日、とあるスペインに関連する団体へ営業メールをしたところ、「スペインと日本の架け橋となるような噺はできますか?」という返信を頂戴しました。慶長遣欧使節と、日本からヨーロッパに広がった椿が、頂戴したリクエストに
沿うことができそうでしたので、この二つを絡めた噺を創作すべく、文献を調べています。
 最近は対面で演じる機会も戻ってきました。是非、半田市を訪れる外国の方達に、地場産業の一つである「お酒」にまつわる英語落語を披露してみたいと思っています。また私自身が運営する(落語の世界では席亭といいます)「どまんなか寄席」をはじめ、全国各地で英語落語を披露しています。そういった時にご提供いただいた半田市の名産を紹介し、気に入ってくださった方達を購入に促す導線となるような、いわば非公式の観光大使のようなお役目を果たせたらと考えています。また前述の YouTube での紹介なども行っています。会議所の会員さんで自社を発信したいと考えていらっしゃる方、私なりの目線で紹介し、盛り上げさせていただきます。ご相談ください。
 私のキャッチコピーは「社交的な引きこもり」です。家にいることが好きだけれど、人前で表現をすることも好きな人間です。高校時代はバンドでギターを担当し、YAMAHA のTEEN'S MUSIC FESTIVAL で全国大会に出場(私の母校のフォークソング部が3年連続で全国大会に出場)しました。そんな私は「半田愛」をストレートに表すタイプではありませんが、生まれ育った半田市に恩返しがしたいです。
 とあるお客様にいただいた言葉「喜餅の英語落語には中毒性がある」に歓喜!英語落語家・喜餅は死ぬまで英語落語家です !

■半田市吉田町3ー80ー5  ■277220  ■https://rapid20.net/20182142010*0



全ての面でスペシャリストに

2023年1月30日(月)

青木 淳さん

いつも誰かが僕を導いてくれました。自分で作った味噌や醤油を使って飲食店をやろうと高校に入学しましたが、先生から「お喋り相手に適していると思うので、介護士は?」と薦められました。その頃は福祉関連の仕事はボランティア的なイメージが強く「ボランティア精神がある人と見られるのはいいな(笑)」とその道に進みました。介護の専門学校の先生に「先生に向いているから、現場で経験を積んで帰っておいで」と言われ介護施設で働きました。両親が共働きで、じいちゃん、ばあちゃん子の僕は利用者さんと話すのは嬉しくて、先生になった時に話せることをいっぱい作ろうと、毎日頑張り楽しく仕事をしていました。でも、その楽しさも長く続きませんでした。
 母は25年前にアパートやマンション・戸建・事務所・店舗 ・駐車場・ 工場・倉庫など賃貸物件の管理会社を始めました。定年後に母の会社を手伝う予定だった父が突然亡くなり、母に導か
れるように家業に関わることにしました。入社したのは22歳で、それまで母の仕事に興味も持つこともなく、賃貸物件のことは何も知らず「違う世界に入ってしまった」と戸惑うことばかりでした。家賃滞納をした人に催促に行くと、身の上話を聞かされて僕も一緒に悩み、仕事の範疇を超えたお節介を焼いたりしていました。それを母が許してくれましたし、母は僕以上に関わってしまうこともあって(笑)。
 希望を持って開業した人が家賃を滞納して退去していく姿を見て、衣食住の『住の仕事』は、人と深く関わらなければならないと実感しました。そこは介護の仕事とリンクする部分で、今までの経験を活かせるかもしれない、僕でも出来る仕事かもしれないとやりがいを持てるようになり、仕事が好きになっていきました。
 当社は家主さんから物件をお預かりし、借主さんに一定のサービスをお届けし、家主さんの手を煩わせることなく家賃収入をお支払いするのが仕事です。そのサービスの度合いは人それぞれのようで、借主さんたちから「階段にゴミが落ちてるよ」「隣の部屋のカラオケの音がうるさいから注意して」「ビデオ録画が出来ないから来て」など、日常生活で気になることがあると連絡が入ります。即対応を心掛けているおかげで網戸の張り替え、鍵の交換、水道パッキンの交換など出来ることが多くなりました(笑)。クレーム処理は適職と思っていますが、僕の処理能力を超えるとちょっと言葉尻が強くなってしまうこともあります。でもすぐに「何て言えばよかったのだろうか」と自己嫌悪に陥り意気消沈しています。そんな繰り返しですが、借主さんと仲良
くなることで些細な情報(共有灯が消えているよとか)も入って来ますから、家主さん、借主さんとお話するのは大切な時間と思っていますし、とても楽しい時間です。興味を持たれる分野は様々ですので、どんな話にも対応できるよう、あちこちにアンテナを張っています。得意分野は芸能界全般です(笑)。
 月1回ほどの家主さんへの訪問は、いかに楽しい訪問が出来たかがポイントと考えています。「いつ来るの?」「もうじき来るんだよね!」そういう連絡が増えていくのはとても嬉しいことです。もちろん仕事ですから楽しいことばかりではなく、会社存続のために死に物狂いで勉強した時期がありました。この業界は宅地建物取引士の有資格者が在籍することが必須です。勤めてくれていた有資格者の方が1年後に退職することになり、僕がその資格を取ることになりました。週2回の学校、仕事が終われば集中できる漫画喫茶で勉強し、40kg痩せました。今は戻っていますが(笑)。生まれて初めて本気になって勉強したので、ストレスがかかってしまったようです(笑)。
 昨年11月に現在地に移転し社屋を建て、そのタイミングで僕が代表となり(母は会長に就任)気持ちを新たに日々邁進しています。会長の今までの経験や知識には及ばず、到底同じことは僕には出来ません。会長は真っ直ぐな人で、自分が決めたルールからはみ出ることはありません。それは尊敬すべき凄いことで、家主さんとの深い信頼関係もそこから生まれていると感じています。それがあったから長年、不動産会社の女性社長として務められたと思っています。ルールに縛られず、時には柔軟に、いい加減に対処するのが僕なんですね。会長といいバランスかなと思っています。
 会長は相続や保険についてのスペシャリストです。僕は若さを武器に、トレンドや現状にあった提案ができるのではないかと密かに思っています。相続や保険、必要なこと全てのスペシャリストになるのが僕の目標です。そして、会長の担当している家主さんが「息子がいいね」と信頼して僕を担当者にと指名してくれたら僕の勝ちと思っています。その日に向けて毎日頑張っています。

■ 愛知県半田市岩滑中町3丁目73番地
■ 営業時間 9:00~18:00  ■ 定休日 土・日・祝
■ 24-0035  ■ https://www.toukaikanri.com/
TEL.21-0311(広報チーム)



un Calme ~菓子アンカルム~

2022年12月27日(火)

吉田 淳さん

楽しいは、美味しい!
 小学生の頃から料理が好きで、フランス料理の料理人を目指しました。そのころにレストランウエディングが流行り出し、ウエディングケーキの担当となりました。今はケーキはパティシェ、料理は料理人と専門分野に分かれていますが、当時は言われるままに何でもやっていました。見よう見まねで始めたケーキ作りに魅了され、パティシェとして再スタートを切ったのは25年ほど前のことです。その後ケーキ店、レストラン、結婚式場で働き、今年5月にオープンしました。
 僕は型にはまるのが好きではなく、どちらかというと自由奔放に生きてきて、勢いでオープンしたという感じです(笑)。ただ僕にとっては生涯最後の大きな決断で、やるからには全力で後戻りはできないと喜びと責任感の中でのスタートでした。オープン時がコロナ禍ということもあり、店名はひらめきで、un Calme(アンカルム)(穏やか、落ち着き)とし、ケーキを食べて、ほっこりしていただけたらという想いを込めました。
 オープン当初は大勢のお客様がご来店され、嬉しい悲鳴を上げていました。作り手の僕と接客の妻、店の前で並ぶお客様の案内を中学生の息子が手伝ってくれ家族総出でてんてこ舞いでした。夏ごろには一息つき、最近はニコニコと心から楽しくケーキを作る余裕も生まれました。オープン当初は必死で、鬼の形相だったかもしれません(笑)。半田は妻の出身地とは言え、地縁もない私がオープン時から多くの方にご来店いただいているのは、今までお世話になった方々の温かい応援からです。以前『KItchen Kato』でデザートを担当していました。そのことが縁でオーナーの加藤さんからは店のPRやお客様へのご紹介もしていただき、支えてもらっています。恩返しも出来ていないのですが、周りの方々の優しさに常に感謝しています。
 僕は僕の味を提供するために自分のペースで、一人で1から10まで作っています。そこは譲れないこだわりです。贅沢な仕事の仕方だと思っていますが、だから閃きも生まれると信じています。かつて先輩に「楽しく作らなければ美味しいものは出来ない」と言われたことがありますが、僕はいつもケーキ作りを楽しんでいます。季節によって、僕の気まぐれで、店頭に並ぶケーキ(13種ほど)は日々殆ど違います。その日の素材によって、これとこれを組み合わせれば美味しいし、僕も楽しいと手が動いてしまいます。今日のショーケースを Instagramのストーリーに投稿しています。クリスマスには楽しいケーキをご用意しています。(予約制)ぜひご覧ください。
 ウエディングケーキはお客様の要望をお聞きし世界で一つのケーキを作るので、色々挑戦させていただき学ぶ機会も多くありました。お客様が喜んでくれれば僕も嬉しく、さらに美味しく、デザイン性に優れたものを追求していきたいと思って、自然にレベルアップしていく。そんな経験の積み重ねで、概念にとらわれない遊び心溢れるケーキを作れるようになったと感じています。
 当店は青い小さな立て看板が目印で、住宅街に溶け込み、通り過ぎてしまいそうなこじんまりとしたお店です。お客様から「分からないから、もっと大きな看板にして』と言われていますが、そこも僕のこだわりで看板は小さいまま、頑固なんですよ(笑)。散歩中の方がふらりと入ってこられて1つ、2つのケーキとクッキーを買っていかれる。ご自分へのご褒美なんでしょう。とても嬉しいことです。
 甘さは控えめにして、もう一つ食べてみたいと思っていただけるようなケーキ作りを目指しています。僕はよく家族に新作を試食してもらいます。家族の表情から商品化するか判断します。表情が曇っている時はそこから改良していくのではなく商品化自体をやめます。頑固なんです(笑)。最近はリピーターの方が多くなりました。「また、食べたい」そう思っていただけているなら、職人として最高の幸せをいただいています。
 いつかは店を持つという夢が実現し、7ヶ月経ちました。ゆっくりコツコツと気ままに、楽しく、自分の味を届けるために贅沢な仕事の仕方をしてきました。このやり方は僕に合っているとは思っていますが、経営者としてパティシェとして、このスタイルでいいのかと模索中です。
 夢は叶いましたが、考えること、悩むことも多く、さらなる挑戦が始まりました。ケーキ作りの好きな僕は、その悩みも楽しみたい!それこそ贅沢ですね(笑)。

■半田市乙川太田町1-18-3 乙川小学校近く
■営業時間 11:00~19:00(売り切れ次第終了)
■定休日 木曜・金曜(臨時休業有り)  ■TEL.26-1158



クラシカフェでここちよく

2022年11月16日(水)

クラシカフェ小牧八重子さん

 味わい深い自家焙煎コーヒーと楽しい会話をお届けし、すべてのお客様が「ここちよく」過ごしていただけることをコンセプトに、サイニングストア「クラシカフェ」は、今年3月にオープンしました。聞こえない人と聞こえる人が共に働くサイニングカフェが、日本で最初に誕生したのは、2020年6月でした。(スターバックスコーヒー nonowa国立店(東京))中部圏でも当店は数少ないサイニングカフェではないでしょうか?
 スタッフの中には就労支援事業所さんから派遣の聞こえない人も在籍し、互いに助け合いながら、熱心で温かい人柄のオーナーさんが焙煎したこだわりのコーヒーを提供しています。聞こえる人、聞こえない人がともに注文しやすいように、指さしオーダーを採用し、お客様にお願いしております。丁寧に何回も指さししていただけるお客様からは、優しさや温かさが伝わってきます。
 お客様が注文する際に、覚えたばかりの手話で挨拶してくれたりして、手話が少しずつ広まって行く様子や、聞こえないスタッフが働くうちに明るく変わっていく姿を見る事は、とても嬉しいことです。聞こえない人は、コミュニケーションのできる場所が少ないので、知多半島だけでなく、ここに来て楽しい時間を過ごそうと、遠方の三河方面からも来店されています。また、駅前という利便の良さも手伝い、名古屋からもよくいらっしゃいます。顔を合わせれば、スタッフとお客様、お客様同士のおしゃべりが自然に始まっています。
 また、一人暮らしの方は、家に居るのは寂しいと毎日のように来店されます。そして、コーヒーを飲みながらパソコンをしている人、お友達同士で楽しく話をされている人など沢山の笑顔や心地よさそうに過ごして
いる姿を見ると、このお店で働いていてよかったとしみじみ思います。
 クラシカフェには、様々な方がいらっしゃいます。生活していく上で、困っている人を福祉につなげたこともあります。これからは、こういう街のお店が、お客様を見守りながら福祉へ橋渡しをする役目も必要になるのではないでしょうか?このクラシカフェは、様々な人がつながり、助け合い幸せになっていく、そんな場所であればと願っております。
 25年ほど前に、テレビドラマの主題歌で手話を交えながら歌っている表情に感動し、私にもできるかなと思って手話講座を受けました。それがきっかけとなって、手話だけでなく、聞こえない人たちの日常生活も知りたいと思い、手話サークルに通い、聞こえない人たちが立ち上げた山の会に入会、手話カフェサロンなどのボランティアに関わってきました。その時に手話カフェサロンで、美味しいコーヒーの淹れ方を学びたいと思い、ココチヤコーヒーさんの移動販売先へ訪問しました。
 そのご縁で、昨年6月に仕事を退職し、ココチヤコーヒー(*)でキッチンカーの移動販売をやる決心をしました。実は、カフェのお店を開くことは、密かな夢でした。不思議なのですが、キッチンカーと出会ったから、私の周りが動きはじめ、次々と状況が変わり出しました。そして、8ヶ月経って、好立地のクラシティ1階でのカフェスタンド出店の話をいただき、現在はクラシカフェの店長として楽しく働いております。私一人では叶わなかったことですが、今までのご縁がつながり、私はその動いている波にちょこんと乗っている感じかなと思っています。これからも、今できることをコツコツやっていこうと思っています。
 私自身、ブレることもありますが、「ココチヤコーヒー心得」にあるように「目の前の人の幸せを願い、お客様、周りの人がここちよいかどうかを判断しながら、全ての人に深い愛情で接したい」と思っています。
手話をやっていくこと、聞こえない人と関わっていくことは、手話を教えてくれた亡き恩師への恩返しだと思っております。私のことを必要と求めてくださる人たちがいる限り、その想いにお応えしていきます。

*ココチヤコーヒーは、常滑市の自宅に焙煎所を置き、知多半島にて、自家焙煎コーヒーの移動販売、移動カフェを営業しています。

■ 半田市広小路町155-3 クラシティ 1F 
■ 営業時間 10:00~18:00 ■ 定休日 第4水曜日 
■ TEL.090‒6599‒1716  
■ HP:http://kokochiya.com/