半田商工会議所 THE HANDA CHAMBER OF COMMERCE & INDUSTRY

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こだわりの「豆腐」をつくるための、こだわりの道具でありたい

2024年4月30日(火)

株式会社かめさきカホリン

古くから日本国内で親しまれ、誰もが食したことがあるであろう“豆腐”。この“豆腐”を作るための道具を製造している会社が半田市亀崎町にある「株式会社かめさきカホリン」である。今回は代表の磯貝氏に、同社のこだわりや豆腐にかける想いを取材させていただいた。
 同社は昭和25年、磯貝氏の祖父にあたる先々代の間瀬秀雄氏が現地にて創業、今年で74年目となる老舗企業である。創業当時は豆腐を固めるための凝固剤の製造販売を主
としており、社名である「カホリン」は凝固剤の一種である「カオリン」からきているそうだ。昭和30年代、それまで木製が主流だった豆腐の製造器具が、保健所の指導により衛生面から金属化(アルミニウムやステンレス製)の研究・開発がされ、同社も愛知県豆腐商工業協同組合とともに共同研究を行った。以降、凝固剤製造を廃止し、豆腐器具製造に特化して現在に至る。国内でも豆腐器具専業は同社のみであり、60年以上作り続けてきたことで蓄積されたノウハウを活かして早期納品、少量受注のほか、顧客の要望に応じた仕様での製造が可能となっている。『美味しい豆腐をつくりたい』という豆腐職人や豆腐製造事業者の方々と共に歩んできた同社は、美味しい豆腐を作るための良い道具、こだわりの道具を常に作り続けており、日本の伝統食である豆腐の文化を継承し、発展させるための役割を長年果たしている。取材をして初めて知ったが、豆腐のサイズは地域によって異なっていたそうだ。また、豆腐自体にも地域での特徴があるそうで、知れば知るほど奥が深いものだと感じた。
 代表の磯貝氏は豆腐文化を絶やさないためにも、様々な活動を行っている。みなさまは【豆腐マイスター】というものをご存じだろうか。全国に4,959名の方が受講・認定されている日本で初めての豆腐の食育資格だ。「豆腐を通じて豊かな食を未来に継承すること」を基本理念に活動している(一社)日本豆腐マイスター協会(後援:(一財)全国豆腐連合会/国から認可された唯一の豆腐業界団体)が主催しており、磯貝氏は協会の代表理事も務めている。身近な存在である豆腐だが、現在は後継者不足による廃業等から豆腐職人・豆腐製造業者が減少しており、このままでは豆腐のことを伝える人が地域からいなくなり、豆腐のことを知らない子供たちが増え、豆腐という食文化が日本から失われていくのではないか、という危機感から豆腐マイスター認定講座は生まれた。豆腐マイスターは「地域に根付く食育の担い手を育てる」ことを目指し、豆腐に関する正しい知識を身につけ、日常的に豆腐を使うだけでなく、多様な情報があふれる世の中で、正しい情報の発信者として存在している。
 豆腐業界全体の底上げをすべく、磯貝氏は日々活動している。昨年、当所主催で初めて開催した「はんだオープンファクトリー」でも、地域の子供たちをはじめとした参加者が同社を訪問した。工場内の見学のほか、同社の製品を使って実際に豆腐を作るなど、豆腐を身近に感じられる体験をした参加者からは笑顔があふれていたという。
 磯貝氏は今後の豆腐業界について、「豆腐」というコンテンツをもっと広げていきたいと語った。豆腐マイスターは食育の担い手という、消費者の視点での学びが主であるが、そこから一歩進んで、業界として豆腐に関する知識・ノウハウを残していくことも重要だと考えている。最近では、豆腐業界の社員研修として豆腐マイスターを活用されることも多く、豆腐の基礎知識だけでなく、業界の歴史や動き、経営的視点などの情報も伝えていきたいと話された。さらに、近年では日本国内だけでなく、海外での豆腐需要も高まっているそうだ。ビーガンやベジタリアンといった菜食主義のスタイル、食の環境負荷に関する問題意識などの観点からも注目されており、業界としても前向きな動きだろう。
 筆者も冷奴や鍋、湯豆腐など季節を通じて豆腐を頻繁に購入する。豆腐は食卓には必要不可欠なものだ。今晩のい出しでスーパーに立ち寄った際は、豆腐への熱い想いを頭に思い浮かべながら、手に取りたい。(取材:濱島千尋)
                 
                

<会社概要>
【住所】半田市亀崎町9-123-11  【代表】磯貝剛成
【創業】昭和25年4月 【TEL】28-3141
【HP】http://www.kahorin.co.jp/




デジタル技術を駆使し、リニューアル

2024年4月30日(火)

体験型博物館 MIM(MIZKAN MUSEUM) 館長 新美佳久さん

3月15日、ミツカンの酢づくりの歴史や食文化の魅力に触れる体験型博物館『MIM(MIZKAN MUSEUM)』をリニューアルオープンしました。構想2年、デジタルコミュニケーション型の展示を強化し、コンセプトはデジタルの活用、体験価値の向上で、楽しみながら食に対しての学び、気づきを得ていただきたいと願っています。
 館内の5つの個性あふれるエリアは、見て、さわって、遊びながら学べる子どももオトナも楽しめるスペースで、『大地の蔵』、『光の庭』を今回リニューアルしました。ミツカンの『酢づくりのこだわり』を楽しみながら体験できる『大地の蔵』では、壁面全体に映し出されたスクリーン上で職人のアバターに変身して酢づくりに挑戦する『あなたも酢づくり職人』が好評です。ご自分の顔を映し出されるのが嬉しそうで、子どもたちの楽しそうな声が聞こえてきます。
 大きくリニューアルした『光の庭』の『そうぞうファクトリー』『みらいウィンドウ』は遊びながら100年先に自分の作った食べ物を届けられる設定です。『そうぞうファクトリー』では今課題のフードロス問題に取り組んでいます。画面上にカタチの良くない野菜、市場価値がない変わった魚など、使い道がなく捨てられそうな食材を集めて、味や食感を整え、色を変えたりトッピングしたりした「未来の食べもの」を『みらいウィンドウ』で未来の世界へ届け、ファクトリーでの体験が未来をどう変えるかを見ることができます。遊ぶ・考える・学ぶがギッシリ詰まったこのゾーンは大人気で、開館中は待機している人の列が途切れないほどです。(一人の体験時間は7分ほど)。私も楽しく挑戦し、作った未来の寿司、ケーキを大切にケータイに保存しています(笑)。
 高速フリーWiーFiが導入され、アプリをダウンロードした後、館内7箇所でオリジナル画像アイテムが入手でき、その画像を回したり、動かしたりしてご自分や友人と一緒に写真撮影ができます。撮った写真をSNSどでもシェアでき、使い方は無限です。
 新アプリはスタートラインとなるエントランスから始まり、先ずはそこでダウンロードしていただきます。「どうしたらいいの?」と思われる方もご安心ください。近くにいるダウンロード促進スタッフにお気軽にお聞きください。
 半田の山車31輛の法被をモチーフにして展示している『風の回廊』は画像アイテムを入手できるポイントです。MIMが所在する下半田地区4輛の山車をドローンで空撮し、三次元画像処理した画像アイテムです。動かしたり回したりすると普段では見ることのできない上山や下部までも見え、改めて山車の素晴らしさを体感できます。この山車の撮影は、下半田地区山車組の皆さんの積極的な協力があったからこそ実現しました。「曳きたいんだからいいんだよ」と山車を快く曳き出していただき、本当に感謝しています。今年の春まつりは当館の中庭に山車4輌を集結していただく予定です。私たちも大変楽しみにしています。
 時代の流れに応じてインバウンド対応も強化しました。日本語や英語・韓国語・中国語で説明表記をし、それぞれの国の言語の冊子を準備しています。海外の方にもお楽しみいただきたいですね。
 ミツカングループは半田で生まれ、半田に育てていただきました。おこがましいのですが、私も半田で生まれ、食に興味があり地元企業への就職を希望し同社に入社しました。新商品の開発、プロモーション開発など、様々な部署で働き、2015年ミツカンミュージアム立ち上げ時に関わり、2年前に半田に戻り、創業221年目に入る今年3月のリニューアルオープンに向けて動き出しました。
 私たち社員は食に興味を持ち、追求し、美味しいものを食べるために色々なレシピを考えたり、スパイスに凝るなど、自分で料理をする人が多いですね。私もそういうタイプで、いつもお昼のお弁当は自作です。そういうことは当たり前で、食品メーカーは料理をされる方に提案する立場であり、お客様の立場に近づこうと努力しています。
 今回のリニューアルもお客様の立場に立ち、より体験を楽しんでいただけるようなデジタル技術を駆使して、楽しいアイテムやコンテンツを盛り込みました。そして「こんなことできたらいいよね。楽しいよね」と目いっぱい欲張って、新しいMIMに私たちの想いの固まりを詰め込みました。「また来たい」と思っていただけましたら嬉しいですね。(取材日:3月25日)



館長 新美佳久さん
■ 半田市中村町2-6 
■営業時間/9:30~17:00(休館日/木曜日、年末年始・WEBからの予約制) 
■ ご利用料金 大人/500円 中高生/300円 小学生/200円 乳幼児/無料
 ※障がい者手帳をお持ちの方ご本人とその付き添いの方1名は該当料金の半額

体験型博物館
MIM(MIZKAN MUSEUM)
■ ご滞在可能時間 120分 ■ TEL.24-5111 
■ 社会見学の申込はお電話にてご予約をお願いいたします。
 社会見学コースは教師の引率があり、児童・生徒が授業の一環として見学される場合に限ります。



店舗改装 リニューアルオープン

2024年4月12日(金)

ディスカバリーワールド

1984年に婦人服のセレクトショップとして開店し、創業40周年を機に店舗を改装しました。以前より入り口部分が広くなり、店内は自然の光とダウンライトで明るい仕上がりとなっています。
 「お客様にカッコよくオシャレで楽しく服を着こなしていただきたい」をモットーにブランド、サイズを幅広く取り揃えています。
 今回新たにバックを取り扱い、従来から取り扱っている小物もあわせトータルコーディネイトを提案します。


代表/榊原由美子
住所/半田市北二ツ坂町3-11-9
営業時間/11:00~19:00
定休日/月曜日
TEL/32-4031



「運動、栄養、休養、心、つながり」の五位一体で生活の質を高める

2024年4月1日(月)

スモールジム MoveOn 知多半田駅前店

 新たな年度を迎え、何か目標を立てて新しいことに取り組み始める人も多いこの時季。健康やダイエットのために運動を始める人も多いのではないだろうか。運動は習慣化しないと効果が出にくいが、運動が苦手な方にも寄り添ってくれるのが、今回ご紹介する「スモールジム MoveOn 知多半田駅前店」である。
名鉄知多半田駅西口より徒歩2分の場所にあるビルの2階に入る当店は、同じ時間帯の利用は最大5名までという少人数スクール制ジムで、毎回トレーナーが教えてくれる個別指導を特長としている。「これまで運動を続けることが出来なかった」「自分のレベルに合わせて、ゆっくり何度も教えてほしい」という方に好評だというこのジムのオーナー兼トレーナーの角地(かくち)真一さんにお話を伺った。
奈良県生まれの角地さんは、中学から大学までは陸上部に所属し長距離走を専門としていたという根っからのスポーツマンだ。大学卒業後はスポーツ用品小売企業に就職し、店舗と本社を含め16年間勤務。その後、スポーツクラブ運営企業に転職し、支配人や新店開発・運営など14年間に亘り経験を積んだ。「顧客や会員さんとお話するための知識や体験を養うため、メジャー・マイナー問わず一通りのスポーツは経験してきました。これまで30年余りの経験を活かし、会員一人一人に寄り添った指導をしたいという気持ちが強くなり、一念発起して2023年9月にスモールジムMoveOn知多半田駅前店を開業しました」フランチャイズ制であり全国で30を超える店舗
数がある当ジムだが、経営者同士の勉強会の場で知り合った創業者と角地さんも想いを同じくして、地域のコミュニティづくりに近い形で運営を行っている。
1回50分のプログラムの中では、動的ストレッチ、筋力トレーニング、神経系トレーニング、静的ストレッチなどを通じて身体の使い方を効率的に指導してくれる。会員は角地さんと近い50歳代の女性を中心に幅広い方が利用されており、特に中心となる50歳代は、親の介護をしている世代で、自分がこの先同じ状況にならないようにと、健康寿命を強く意識されているのではないかという。「1枠5名までというイメージから、グループで入会しないといけないと思われがちですが、個人でのご入会がほとんどで、ご夫婦や親子で入会される方もいらっしゃいます。まず初めは一人で入会され、無理なく続けられる自信がつくとご友人を誘われことが多いです。また、このジムで出会って仲良くなられるケースも多いですね」ジムで仲良くなるキッカケとして、トレーニング後の30分をカフェタイムとして、角地
さんが豆から淹れるスペシャルティコーヒーをいただきながら、身体や栄養など健康に関するお話をする時間が設けられていることが挙げられる(参加は任意)。
トレーナーがつかない通い放題ジムでは、入会から半年後の退会・休会者が約半数にのぼるというデータもあるが、スモールジムは継続率が約85%の高さだという。心身の健康と自分の未来が良くなっていく実感があることはもちろん、トレーナーに気軽に相談したり仲間内でおしゃべりが出来るコミュニティが生まれることも、ジム通いが楽しく続けられる要因の一つではないか。
「進歩・進化する」という意味をもつMoveOnと名付けた当店は、会員が健康に対する意識を切り替え、心身ともに進歩していくことを目指している。常に前を見続ける角地さんに、今後の展望を伺った。「まずはこのジムの経営の安定と、会員さんの生活の質を向上させていくことが当面の目標ですが、長期的には別の夢を2つほど描いています。一つはカルチャースクールの運営で、例えば韓国語などの語学を学ぶと、ドラマを字幕なしで観ることが目標になったり、映像で観た土地に実際に旅行するなど生活に彩りが出てきますよね。短期的な趣味ではなく、そういった人生の生きがいに繋がるお手伝いがしたいと思っています。
もう一つは、心を予防的に健康にする場のご提供です。ジムや運動で身体が良くなっても、心の状態が良くないと健康とは言えないですよね。現在は支障をきたしてからクリニックやカウンセリングに行く方が多いですが、物事の捉え方や考え方を学ぶ場をご提供することで、予防的に心を健康に保つお手伝いができれば嬉しいです」
単なる運動指導に留まらず、「運動、栄養、休養、心、つながり」の多方面から会員の生活の質を高めるために日々活動している角地さん。いつお会いしてもハツラツとした笑顔のウラには、自身に関わる人の健康を心から願う覚悟が感じられた。(取材:齋田哲資)

                 

オーナー兼トレーナー/角地真一
                
住所/半田市昭和町1-2 昭和ビル2F
営業時間/火~金 9:30~21:00、
     土 9:30~20:30
定休日/日・月曜、毎月29日~月末日



『社業繁盛!咲き誇れ!~GROW UP HANDA YEG~』

2024年4月1日(月)

令和6年度半田商工会議所 青年部会長 ㈲はなふく 代表取締役 森下 達夫 氏

 令和6年度に発足60周年を迎えた半田商工会議所青年部。周年という節目の年、鈴木靖隆前会長の言葉を借りれば『カリスマ会長』が誕生し、陣頭指揮する1年となる。今までの歩みを家業を通して振り返ると、自分らし
い仕事をすることを目標に、その時々のステージで大きな足跡を残した。強い意志と貪欲な挑戦で四半世紀。カリスマのごとく生花業界を牽引してきた。青年部(以下YEG)活動も然りで、その一生懸命さ、真摯な取り組みで一石を投じてきた。
 「2009年、28歳で懇意にしている取引先のYEGメンバーからの紹介で入会し、積極的に出席してきました。諸先輩方からの学びや遊びの手ほどきを受け(笑)、若いからゆっくり育っていけばいいよと温かい言葉に支えられながら、YEGでの居場所を作っていただきました。経営者としての考え方、異業種の方々との出会いで人脈も広がり、入会は僕の人生にとってプラスになることばかりでした」
 2013年、夢のメンバー!交流・事業委員長時代に、はんだふれあい産業まつりで『キッズチャレンジファクトリー』を企画した(現在も継続事業)。キッザニア(子どもたちが様々な職業にチャレンジし、楽しみながら社会のしくみを学ぶことができる職業・社会体験施設)が流行り始めた頃で、わずか3ヶ月という短い準備期間でカタチにし大成功を収めた。
 「ペースが遅い怠け者の僕ですが、歴代会長や年上の同期メンバーたちの背中を追いかけて必死でした。雨の中、ごん鍋の振る舞い、
ステージイベント、協力して仲間や来場者と一つになったことは貴重な経験でした。そういう流れの中で一緒に汗をかいてきた仲間に僕としてどんな恩返しが出来るか、そんな責任感が芽生えてきました」
 会長の要請を受けた時に、コロナ禍の中で会長を務めた先輩たちの英断に想いを馳せた。社業でさえ不透明な中でYEGの存続、仲
間たちのために立ち上がった姿に心を打たれ、42歳を迎えた今だから会長として仲間と向き合う時と決心した。
 「YEG入会の最終メリットは、社業繁盛を目指せるという点に尽きるのではないでしょうか。そのためには学び合い教え合うことで自己研鑽と経営力の強化、会員150名、OB会や県内外YEGとのネットワークの活用、活動を社業に繋げる方法を追求する等さまざまなことが考えられます。こうして挙げたことは、僕がYEGに入会して学んだこと、気づかせていただいたことです。僕自身仲間との深い付き合いにより経営力が伸びました。失敗、迷い、衝突もある中、仲間の支援で勇気を得て今があります。60年の歴史を積み重ねてきた半田YEGでは、本当の成長が得られます」

 この4月から60周年記念事業がスタートする。だから地域の方々に感謝したい、ありがとうを届けたいと公開事業を企画中。生花販売業という、エンドユーザーに近い距離感だからこその企画という会長色を出しながら、メンバーにも60周年事業を各自の社業繁盛のチャンスにしていただきたいと願う。スローガン『社業繁盛!咲き誇れ!~GROW UP HANDA YEG~』には、そんな想いが溢れるほど込められている。
 「僕は支えてもらうタイプで、歴代会長のようなリーダーシップはありません。ただ、自信を持ってみんなのことを好きと言えます。60周年事業はメンバー全員で作り上げていかないと実施できません。皆さんのご協力をお願いします」
 YEG仲間の支えもあって発展してきた社業だが、同時に、年の離れたお兄さん的な関係性の父君の姿勢から、仕事に対する真摯な態度を学び、自分しかできない仕事をする覚悟をもらった。時代性もあり父君は葬儀花と大型スーパーの置き花を主軸とし、葬儀業界の下請けとして電話を待ち、カラダを酷使する日々だった。その姿を見て父君
のできなかったことを自分が精一杯やろうと誓った。
 「名古屋フラワー学院を出て上京し、最先端の店舗の門を叩きました。店先には芸能人や政治家が行き交うことが当たり前の店舗では、掃除する姿さえ正され、花を売ることは技術・サービスを売ることと教えられ、花をモノとして売っていたに過ぎなかったことを知らされました。業界誌に取り上げられている方々との出会いを通して、個性って何?自分はどうだろうかと考えるようになり、職人ではなくデザイナーを目指そうと考え始めました。地元で自分らしい店を持ちたいと帰郷したのは21歳の時でした」
 葬儀花からの脱却を図り、ブライダル業界にアプローチした。門前払いされたこともあったが、挨拶には自作の花を持参し、ある時はブライダル情報誌の新郎役のモデルを務めた。そのセンスと一生懸命さが実り、大手結婚式場と契約を結んだ。名古屋生花小売商業協同組合の青年部会長職も務め、そのフィールドが広がり人と出会う度
に、商いとの向き合い方を自身に問いかけ、感動を超えていく感動を花に込めて届けたいと思うようになった。
 「最近思うのは、その花が持っている素材の良さを活かし、引き算をしながら花を提供したいと思っています。以前は足し算、掛け算をしてきました(笑)。ビジネスマンよりアーティストの感性で生きる。父の背中が教えてくれました」

●ちょっと一息●


 幸運にも色々な場面に恵まれ、中でも印象に残っているのは『ガーデニングワールドカップフラワショー2013㏌JAPAN、フラワーアレンジ部門」での銀賞(ハウステンボス開催)。2016年のG7伊勢志摩サミットではセントレアに到着した飛行機のタラップを彩る花、オバマ大統領に贈る花束を作らせていただくチャンスをいただき、貴重
な経験をさせていただきました。
 また、YEGメンバーから起業家の発掘・育成並びに新事業創出を目的とし、今後の経済社会に存在意義と可能性の高い企業として勝ち残れるための『第21回ビジネスプランコンテスト』に温めていたプランを仲間と共に応募し、一次選考を通過することができました。

1981年半田市生まれ。2000年名古屋フラワー学院卒業後、上京。02年帰郷し自社入社。21年3代目代表取締役に就任。
09年青年部入会、地域委員会委員長、副会長、専務理事を経て24年会長。半田市在住。