2023年7月28日(金)
明日を見つめて今全力
父親(現会長)の『後継者は長男、二男は会社に関わらない』という意向に従い、僕は大好きな車の仕事をしようと修理や販売、店長として働いていました。今も隙あれば車屋をやりたいと思っています(笑)。5年くらい前に会社を継いだ兄からの要請でサラリーマンを辞めて当社に入社しました。労務や経理、人事を担当しましたが、経験のない分野で戸惑うことも多く、社業とはいえその頃はちょっと辛かったですね。
当社はアルゴン溶接等アルミ加工を得意とし、創業当初から車のガラスの精度等をチェックする検査機器を製作し、樹脂型検査ゲージ、検査治具の製作等を業務としています。中でも40年以上、お客様の製品の品質向上に貢献させていただいている特許取得の自社センサーを取り付けた樹脂型検査ゲージ製作は、当社の大きな武器の一つです。2016年にドイツの工作機械メーカー『FOOKE』からアジアでの拠点を作りたいと声がかかり、業務委託を締結しました。現在国内で3台あるこの5軸加工機『ENDURA』はプログラミング次第で、自動車、船舶、鉄道、航空、宇宙どの分野にも対応でき、用途に応じた使い方ができます。人が何十時間もかかる作業を短時間で、加工面も極めて精緻な仕上がりとなり、今業界に求められる『意匠面の厳密な再現』に対しても目覚ましい効果を発揮します。新規事業として、この加工機の販売とメンテナンスを請負っています。僕が所属している総務部ではDXの導入により業務の効率化を図り、手持ち無沙汰になったので(笑)、その分営業に力を注ぎ始め、攻めの営業活動をしていこうと思っています。
この加工機の定期点検・メンテナンスは当社でしか請け負えないという武器を活かして商圏は日本全国です。社員は何ヶ月もドイツに行き、その技術を学び100%サポートが可能です。販売後の定期メンテナンスや不慮のトラブルが起きた場合には、その会社と当社をつなぎ遠隔操作で解決する方法も考えています。また、交換部品も当社がFOOKEから仕入れ、お客様に販売する商社のような役割を果たせたらとも思っています。そしてメンテナンス等に関わる、オペレーターを養成する学校を作れたらいいなとも夢見ています。
2019年には生産工程における品質管理の最適化を図るため、ドイツに拠点を構えるLED外観検査機メーカー『Oligo』と業務提携をしました。社内に2社の製品のデモセンターを併設し、購入を検討される方に実際にその製品を見て試していただいています。それぞれの担当者は日々追われています。アジアの拠点作りというご縁をFOOKEからいただいた当社は、アジアへ、そして世界へと進出しようとしています。その夢が実現したら楽しいですね。
この製品の素晴らしさを多くの方に知っていただくこと、それが僕の仕事と思っています。それと同列にするのも変かもしれませんが、僕は青年部の魅力を伝えていくことも、僕の役目かなとも考えています。
社業に入社したのと同時に、同級生の誘いを断りきれずに青年部に入会しました。会員50名増強の年で、その委員会に入ってしまい(笑)、先輩委員にお供して話を聞いているうちに友達も増えて楽しくなっていきました。紹介者の彼の顔を立てようと全行事に参加し、入会初年度には『新人賞』をいただきました。翌年は『MVP』を狙ったのですが、獲得に至らず涙を飲みました(笑)。青年部に入ったお陰で仲間からの声掛けもあり、『異業種交流展示会メッセナゴヤ』や『アライアンスパートナー発掘市』にも出展し、当社のPRをする機会をいただきました。青年部入会前はどこの経済団体との付き合いもなく、また当社の製品が一般消費者と直結していないので、ある意味謎の会社でしたが(笑)、少しは認知されたのでしょうか(笑)。県の連合会、東海ブロックに参加すると、当社を知っているメンバーとお会いすることもあり、青年部の繋がりの広さを感じています。僕は青年部に入会して友達も多くなり、様々な情報も入り、人生が豊かになりました。出席を渋っているメンバーや、これから入会を検討している方々に、青年部の魅力や楽しさを発信していこうと思っています。それが僕にできる青年部へのお返しかなと・・・。
5軸加工機『ENDURA』の営業活動が軌道に乗ったら、夢の実現に向けて動き出そうと考えています。業界の研修で『今後は一企業で7事業を持っていないと生き残れない』という話を聞きました。7つとは言わなくとも、3つ4つの事業は必要かなと考えています。青年部メンバーと一緒に新事業を興すのも夢の一つです。
仕事、青年部活動、趣味のジェットスキー、食べ歩きとスケジュール表に予定はビッシリで、ゆっくりする暇もありません。でもこうして動いていることに幸せを感じています。28歳の時、首のヘルニアで生死の境を彷徨いました。それからは、動けるうちは動かないともったいないと、家が好きだった僕は外へ出て行くようになりました。食べ物の好き嫌いをしていたらバチが当たると今は好き嫌いは一切ありません。
『明日を見つめて今全力』父が創業以来、経営理念としてきた言葉です。僕もその言葉を噛み締めながら、公私共に今日も明日も全力です。
■知多郡武豊町字前田34 ■TEL.73ー5101
2023年7月3日(月)
今、こうしてここで働いている。それが一番の喜びであり、楽しみです。ここに辿り着くまで色んなことがありました。徳島の大学の教育学部で学んでいるうち、外国の人たちと関わる仕事をしたいと夢みて、「日本語教師になろう!」と考えるようになりました。で
も、「それでは食べていけない」という現実を知り、当時日本で外国籍の子どもが一番多く住んでいた愛知県で教師の道に進みました。ですが7年ほど勤めた時に「夢はどうなったの?このままでいいの?」と思ってしまったんですね。それで勢いで留学をしました。そのときはベトナム語を話す人も少なく、日本人がベトナム語喋ってたらなんか面白そう、食べ物も美味しいし・・とベトナムにいきました。
調子よくベトナム語を学んでいたところ、コロナ禍に見舞われ緊急帰国しました。言葉だけでなく、人柄も国もまるごと好きになったベトナム。せっかく勉強してベトナム語を身につけたんだからと、役所で通訳などをしていたのですが、やっぱりどうしてもベトナムに行きたくて、何とか渡航した途端、またしてもコロナ禍の影響で立ち行かなくなってしまいました。ロックダウンで外出も禁じられるベトナムの街。外国の地で生きるということの意味を考えさせられた出来事でした。帰国を余儀なくされる中、日本でベトナム語を使う仕事をインターネットで探す日々でした。ただ、「ベトナム語を話す日本人が少ない」ということが裏目に出てしまい、ほとんどの会社では面接すら通らず…。そんな時に『ベトナム語を話す日本人なんて見たことないから面白そう』という当社に面接をしていただきました。面接官だった今の上司には感謝です。私の恩人です。その面接日が今思えば、人生のターニングポイントでした。
ここに入社してまだ数年ですが、『私たちは、「いろいろなハ・タ・ラ・ク」を通して、互いを認め合い、人として成長し、自己実現を目指します』『私たちは、素直な心で対応し、豊かな創造性で、広く、永く、発展していきます』という経営理念の本当の意味について、少しずつ嚙みしめるようになってきました。弊社は人材派遣、海外からの特定技能の方や技能実習生のお世話、飲食業・介護施設の運営、求人媒体「専門生ナビ」の発行…と仕事は多岐にわたっていますが、根本にあるのは『ひと』です。スキルは経験でカバー出来ますが、一緒に働く人とはパートナーでありたいと思っています。この会社が「あなたがいてくれてうれしい」とお互いを認め合い、働く人の自己実現をサポートできる存在でありたいと思っています。
経営理念に『広く』という言葉があるように、日本のみならず、東南アジアをはじめとした外国人の方の採用も積極的に行っています。外国の方は初めて来日される方も多く、そんな時には安全に安心して生活していただくために物心両面の支援が必要です。彼らが働く現場に顔を出して世間話をしに行ったり、一緒にご飯を食べたりすることも多いです。通訳、としてではなく、時には友達のように、素直な心で大笑いしたり一緒に悩んだりすることで、私という人間を知っていただくよう心がけています。
経営理念「いろいろな『ハ・タ・ラ・ク』」「豊かな創造性」のキーワードのもと、やってみよう!と立ち上げた新規事業が『専門生ナビ』の創刊(29社掲載、県下160校の専門学校に配布、年1回発行)です。「求人票だけでは見えてこない、本当の企業らしさをアピールできる媒体をつくりたい」という想いのもと、愛知県内の人材を永く育てて伸ばしたい素晴らしい会社と、夢に向かって一生懸命な専門学生をつなげる媒体として、取材も編集も私たちでゼロから制作をはじめました。全くの未経験な分野だったこともあり『産みの苦しみ』を鮮烈に味わいましたが、2022年10月にプレ号を発行しました。就活の時期とズレてしまったなあと心配したのですが、昨年度、会社合同説明会も3回開催しました。このプレ号の配布・合同企業説明会から縁があり、掲載企業への内定を得た学生さんがいらっしゃったことが本当に嬉しかったです。私たちの媒体の目指す方向性が間違ってなかったんだ、という安堵と自信、学生さんと企業の新しいスタートに立ち会えた喜びが入り混じったあの感覚のことは、おそらく一生忘れません。
創刊号は6月に発行しました(53社掲載)。学校との結びつきも強くなって、すでに合同説明会の開催も決定しています。掲載企業さんに出向いて取材や撮影を自分たちで行うことで、その企業さんのことをより深く知ることができます。だからこそ1社1社すべてに思い入れがありますし、どの企業さんのことも学生さんに自信をもっておすすめできます。学生さんに自分たちの言葉で企業をアピールできるのも他にはない強みだなと。媒体を通して学生さんが「知らなかった世界」とつながるだけでなく、お客さま同士がつながり、学校からのアイデアがそこに絡まり、新たな事業が始まっていく…そんな場面も何度か見て来ました。媒体が他の側面で化学反応を見せてくれる愉しみも感じています。何と言ってもまだ生まれたばかりの媒体です。地元のお客さまや学生を巻き込んで、試行錯誤しながら大切に育てていきたい、私にとってわが子のような存在です(笑)
人材派遣から媒体作成まで、とにかく色んなことに挑戦させてくれます。わくわくする瞬間に満ちた会社だと思います。何事も中途半端で、それゆえに自信がなくてあれやこれや模索し続けていた私を仲間として受け入れ、少しずつ認めてくださった当社に、少しでも恩返しがしたい一心で仕事に熱中する日々です。『人材の会社で知多半島No.1になること』『一緒に働く人たちがいつか故郷で活躍すること』が私の密かな夢です。私にとって仕事は人生そのもの。生きることは仕事をすること。そんな風に思える魅力的な
仕事に出会えて、なんだかんだラッキーな人生を歩んでいると思っています。周りの皆さんに感謝です。
■半田市岩滑中町4ー73‒1 シャインステイビル NO.2 301号室 ■TEL.26ー7543
2023年6月1日(木)
亨右さんと私それぞれが旅行会社と材木店の代表を務め、互いが両社に関わり二刀流です(笑)。20年前に亨右さんが旅行会社『ダイトウツアー』を創業し、私もサラリーマンを辞めて手伝い始め18年になります。4年前に材木店qをしていた父が急逝し、私が『大藤材木店』の6代目を継ぎました。その後コロナ禍になり旅行会社の仕事がなくなり、時間が出来ました。それで材木店の倉庫整理をしていたら、当時使っていたノコギリや、銘木といわれている木が出てきました。父は晩年常々『趣味、道楽、ボランティア』と言い放ち木に生きた人で、趣味で集めた貴重な磨き丸太や床柱も保有していたようです。住宅の洋風化でそういう材木を利用する機会もなくなってしまったので、商品の企画・販売のショップ『DaitoWoodWorks」を立ち上げました。「せっかくの銘木が勿体ないね」と言われることはありますが、使えるモノに変えていけば、身近においていただき、木の良さを知っていただけることにもなると思っています
二人とも木を扱ったことがなく、YouTubeや友人から教えてもらい機械の使い方から勉強しました。最初はトーチやまな板作りから始まり、インテリア、生活雑貨、キャンプ用品などアイテムも少しずつ増えてきました。木は一つとして同じ表情のものはありません。それぞれの良さを活かしたシンプルなデザインを心がけています。昔はまな板として使ったものを今はどう使うかなど、新しい木の使い方を提案しています。私たちの技術も上がってきて(笑)、「自分たちで作っているの?」と聞かれることもありますが、全て私たちの手が掛かっています。
2年くらい前からマルシェやイベントなどにも参加し、出店していると異業種の方達ともお会い出来、情報も入り仕事の幅も広がりました。最近はレーザー彫刻の看板や木に QRコードを彫刻した商品が好評です。商品は通販サイトでも販売しています。亨右さんは細かい作業をキレイにこなしますが、私は大雑把で「こんな感じかな?」と商品イメージを膨らませるなど、それぞれ得意分野が出てきて、新たな発見もあり面白いですね。得意なことは早く上手に出来るので、それに向いた人が担当していますが、嫌なことは押し付けあったりしています(笑)。
互いが会社の責任者なので、最終決定はそれぞれという線引きは出来ていますが、隣り合った両社間を行き来しながら午前は旅行、午後は材木店の仕事ということもあります。旅行と材木、業種は異なっていますが、『良いと思うものをお勧めする』『お客様のニーズにお応えし、個性的なものを提供』というコンセプトを共有しています。私は飛行機に乗ってみたいという想いから旅行会社に勤務し、日本全国、諸外国を周り、『ダイトウツアー』として団体旅行やオーダーメイドの旅行をお受けしています。営業は主に私、コース作り、見積もりなどは主にそのさんが担当し、最初の相談から添乗まで全ての責任を持ってやらせていただいています。今はインターネットで簡単に旅行の申込が出来る時代になりましたが、お客様が本当は何を求めているか?そこを大事にしたいので、お客様とのコミュニケーションを大切にしています。
私も添乗業務にご指名をいただけるようになりました。でもやはり旅行業界に長い経験者の亨右さんの的確な判断力や会話力、出会った頃の走り回っている人という印象通り、フットワークの軽さには敵いません。旅行に関わる人としてピッタリの要素を持っている人ですね。だから仕事が好きで、家族旅行も話題のスポットや気になる旅館やホテルに泊まり、旅行の下見のようです(笑)。
自分の目で見て肌で感じることが重要で、既存のお客様を大切にすることを心がけてきました。「良かったよ。次はどこがお勧め?」と声をかけて下さるリピーターの方も多く嬉しい限りです。義父の知り合いに当社を利用していただいたりして『大藤(ダイトウ)』という名前に助けられているとつくづく感じています。
老舗材木店が時代に合った新しい木の使い方を提案する店として新聞やテレビに紹介されたら、「あの大藤材木さんが新しいことをやり始めたの?お父さんはいい人で、よくお世話になったよ。頑張ってね!」と皆さんから励ましの声をいただきました。父も『大藤』という名前が残ったら嬉しいと言っていましたので、私も少し親孝行をした気分になっています。その名に恥じないような仕事をして行きたいと思っています。
小澤亨右さん そのさん
■武豊町字小迎200 ■72ー8803
2023年5月24日(水)
鉄工所、トヨタ系の会社で働き、自分のやりたいこととは何か違うなと感じながら、一度きりの人生だから次は好きなことを仕事にしたいと考えていました。僕はバイクとアメ車が好きで、16歳の頃バイクを停めていたのはありふれた物置で、いつかはカッコいいガレージが欲しいと思っていました。そのことを思い出し、今まで学んだ溶接技術で製作しました。でも、それを仕事にするには迷いがあり、友達に相談したら、「やれない理由ばかり並べている。不安材料を書き出して決めたら」とアドバイスを受けました。解決法を上げていったら、やれるという結論に達し、じゃあやってみよう。ダメならどこかに就職しようと、ちょっと安易な気持ちで創業しました。
ちょうどコロナ禍(2020年)で前の会社の上司からも「本当に今始めてもいいのか?」と心配されましたが、何とか3年経ちました。この間、資金面で息詰まったり工場を移転したりと、あっちこっちにブレながら(笑)、今年の2月、工場兼事務所兼店舗をここに移転し、徹底的にやるしかないと心を決めました。店名は苗字にちなみ、テン(天)フィールド(野)ガレージにしました。
『あの日夢見た秘密基地を実現できる』をキャッチコピーに、世界に一つだけの完全オーダーメイドです。ガルバニュームの外観、アルミシャッター、住宅などにも使う高性能窓・サーモスを使用し耐久性が高く、家の外観や設置場所に合わせた複雑な形も可能です。ドアやシャッターなどの各種オプション、電装品や外観の色(黒、白、ネイビーなど12色)内装の種類なども全てカスタマイズでき、わがまま放題です(笑)。プレハブは夏は暑いという難点がありますが、断熱材を入れることでクリアしました。使い方は無限大で、バイクガレージ、ワークスペース、趣味部屋(ピアノ・卓球等)お洒落な倉庫、事務所と、ご要望に応じて製作しています。
ヘルメットを置いたり、バイクのパーツを収納するカッコイイ棚も鉄で作りました。その延長線でアイアンテレビボード、メタルロッカー、メッシュシューズラックなどの家具や、アウトドアに最適な組み立て式ラックなどを製作しています。このアイアンと木を使った家具もデザインやサイズ等オーダーメイドが可能。インダストリアルデザイン(工場街をイメージさせるような、スチールやコンクリートなどの建築資材がむき出しになった、無骨だがカッコいいデザイン)としてぜひお勧めしたい逸品です。店舗にはアイアン家具やビンテージランプ、バドワイザーのネオン管などを並べ、ゆくゆくはそこで僕の得意な溶接を使った小物作りのワークショップを開催したいと考えています。
営業から製作、設置まで一人でやっていますが、友達から助けられている部分が多くあります。最初はお客様として話しているうちにバイクや車好きと分かり、1日中趣味の話で盛り上がり(笑)、慌てて夜中の2時、3時まで仕事をして納期に間に合わせたこともあります。電気系統や木材、ピンストライプ(車のカスタムカルチャーの世界でアートとして確立し、装飾として家具やヘルメットに描く)の専門家など、この仕事に関わる友達つながりで仕事の幅も広がりました。困ったことも誰かに聞けば解決でき、僕の仕事は友達との合作のようなものです。そんな頼りになる仲間たちにいつも感謝しています。
祭り仲間(乙川祭禮)も僕にとっては大切な人たちです。祖父の代から関わり僕も気づいたらやっていました。今年は山車のからくり人形を新しくしたので、その部品を作らせていただき嬉しかったです。年が明けてから祭り直前まで準備や飲み会が続きます。酒の飲めない僕にとっては恐怖の毎日で(笑)、若い衆の頃は飲んで救急車で運ばれました。祭りから学んだことは多くあります。上下関係が知らず知らずのうちに身について、先輩が動く前に体が自然に動き目配り、気配り、心配りが自然に身についたような気がしています。人として生きていく上で、役に立っていることが多いと感じています。
また、アメ車好きの僕は1951年製造のマーキュリーを大切にし、いつかイベントやお客様との打ち合わせに乗っていくことが夢です。エンジン音、ガソリンの臭い、音楽を流しながら走る爽快感、全て最高です!僕の趣味は車中泊。旅に出て車の中で目覚める瞬間は最高の時間です。独立する前は田んぼに建てたテントの中に車を置き、車中でコーヒーを飲むという贅沢で幸せな時を過ごしていました。
僕はバイクと車と祭りが生きがいです。祭りが終わって、桜が咲いて、僕の仕事も本格的に動き始めています。存在感があり、カッコいい秘密基地を作り続けていきます。
あの日夢見た秘密基地を実現できる
■ 半田市中島町30 ■ 090-9915-9106
■ HP https://www.tenfield.jp/
Instagram @10fieldgarage
2023年4月6日(木)
理想の義歯を作るため技術を追求
『幸運の女神には前髪しかない』と言われていますが、2011年9月、僕はあの時、確かに女神の前髪を掴んだと感じています。総入れ歯製作の歯科技工士の僕は、世界NO.1歯科技工士マックス・ボッシャー先生の講習を受けるために、セントレアに向かっていました。到着した僕を待っていたのは、台風で欠航という絶望的なアナウンスでした。スイスでの講習会になけなしの大金を投じ、学びたいという思いを諦めることが出来ず、必死で飛行機を探して一日遅れて参加しました。科学的根拠に基づいた最先端技術のその講義は素晴らしく、まさに目からウロコ状態でした。3ヶ月後にマックス先生から、2012年の新年早々の講習会のお誘いを受けました。直々にお声がけをいただき、全ての仕事をキャンセルして、先生の仕事場で1週間トレーニングに励みました。
帰国後に歯科医院の先生方から「今までの仕事のクオリティと全く違う、患者さんがすごく喜んでいる」と報告をいただきました。知らず知らずのうちにスキルアップしていたようです。人種、性別、年齢などによって骨格は様々ですが、常に世界標準の最新スキルをアップデートしていけば、全ての患者さんに対応可能な義歯を提供できることを確信しました。世界で通用するスキルかどうか?自分のレベルを客観的に評価したいと2015年から様々なコンテストに挑戦してきています。
世界の頂点はとてつもなく高く、惨敗に惨敗が続き、2021年にようやく『2021 IDS Candulor World Contest』(世界入れ歯コンテストドキュメント部門)で1位になりました。アジア人で初めての1位で、2年に一度開かれるこのコンテストは、個人的には義歯のオリンピックやワールドカップに匹敵するのではと思っていて、とても嬉しかったですね。今年も挑戦し『13th International CANDULOR KunstZahnWerk Competition 2023』
作品部門で5位獲得しました。3月15日、ドイツでの表彰式に出席してきました。コンテストは世界中からエントリーした歯科医・技工士100人程に患者さん情報と顔写真、石膏模型が届きます。ヨーロッパでは機能性が最優先され、審美であり、入れ歯と分からないような自然な義歯を作ろうという意識が高いようです。僕はその自然観を大切にし、歯茎の色は白からピンクのグラデーション、患者さん本来の歯並びを再現するために、すきっ歯の義歯を製作することもあります。完全なオーダーメイドですので、ピッタリ合う究極のオートクチュールですが、誤差は出てしまい常に精度との闘いです。ミクロの世界での勝負で「自分の身内が使う」という想いで作っています。
先日も僕の facebookを見られた、関西にお住まいの85歳の女性から「思い切り、食べものを美味しく食べたいから義歯を作りたい」と連絡をいただきました。私たち歯科技工士は、歯科医から患者さんの情報をいただき義歯を作るので、近隣の歯科医院を紹介させていただきました。近隣といっても岐阜の歯医者さんですが、距離感よりもご自分の理想とする義歯を作って欲しいと要望される患者さんでした。近年はしっかり噛むことで健康を保ち病を遠ざけると言われ、歯の大切さを再認識される傾向にあるようです。女性は特に審美性を求める方も多く、自然観を大切にしながら、機能性、審美性の三拍子を揃えるために試行錯誤しています。
歯科医院の先生が入れ歯を患者さんにセットした後に、その場でかた焼き煎餅とあたりめを食べていただき、その様子を動画で撮影し送信していただいています。「20年間食べていない固いものを食べられて嬉しい」と号泣された方もいらっしゃいます。僕は義歯を『人工臓器』と言っていますが、体の一部となるその臓器を装着することで「身体の歪みが治った」「背筋が伸びた」「顔の輪郭がスリムになった」などの驚きの声を頂戴しています。また、最近は若い方でも病気等で歯を失った方、ボロボロになってしまった方、身内にも入れ歯であることを隠していらっしゃる方、様々なご苦労をされているようです。僕はクロコとして、陰ながらそういう方達のお力になりたいと思っています。
30年程前に独立してから、ひたすら技術を追求してきました。世界には学ぶべき技術がたくさんあります。時には今までの知識を払拭しなければならないこともありますが、患者さんの理想とする入れ歯を作ることは、僕の人生を豊かにすることにも繋がっています。入れ歯に人生をかけ、ポケトーク(通訳機)を相棒に、技術の習得に日々努めています。
Swiss Plus
貝沼貢実さん
■半田市亀崎常盤町3-12
■29-4415